スタートアップとソフトウェア工学

スタートアップ企業といえば、こんなイメージでしょうか。新たなアイデアを追求しながら、小規模ながらも大きな成功を目指す企業。リソースが常に不足しながらも、素早く変化しつづける柔軟な組織。成熟したチームとは言い難いが活力に満ちている。

様々な業種でのスタートアップがありますが、特に注目したいのがソフトウェアを通したサービス提供を事業の中核とするスタートアップ。このサイトではこれをソフトウェア系スタートアップと呼ぶことにしています。

定番の解決法がまだ見つかっていない問題に対して、新たな解決法(ソリューション、ともいいますね)やより良い解決法を提供することはスタートアップの存在意義。それをソフトウェアという手段で実現するのがソフトウェア系スタートアップです。新たなサービスを実現するためのソフトウェアの設計・開発・運用・改善が社内活動の重要な位置を占めています。

スタートアップは夢のある存在ですが、もともとハイリスクな活動なだけに、その現実はなかなか厳しいものがあります。たとえば、3分の2のスタートアップは何のリターンも出さないうちに廃業に追い込まれているといわれています(たとえばこちらの記事)。様々なデータがありますが、そのどれもが、スタートアップが置かれている過酷な状況を浮き彫りにするものです。

スタートアップが失敗に終わったとき、原因として「ビジネスモデルが悪かった」、「市場ニーズに合ったサービスではなかった」、「創業者の能力が足りなかった」などが挙げられることがあります。

しかし、多くのスタートアップがソフトウェアを中核としているソフトウェア系スタートアップである現在、ソフトウェア開発における失敗が致命傷となることもありえるのです。

高品質なソフトウェアを効率的に設計・開発・運用・保守していくための科学的なアプローチを提供することがソフトウェア工学の使命です。ソフトウェア開発の現場ではこうしたアカデミックな取り組みによって得られた知見を意識することは少ないかもしれません。ソフトウェア工学の研究成果の多くは現場のソフトウェア技術者に届いていないともいえます。

このサイトでは、スタートアップに従事するすべての人が知る価値のある、ソフトウェア工学の研究成果を解説していきます。スタートアップに特化した研究もあれば、より一般的なソフトウェア開発現場に適用可能な研究もあります。スタートアップとは関係のない読者にも十分楽しんでいただけるようなサイトにしていきます。

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